講演・企業研修のご相談 【全国対応/平日 9:00〜17:00】
フリーコール 通話料無料 0800-123-2608

メンタルヘルス対策・ハラスメント対策など
各種研修・セミナー年間100件以上のご依頼

安全大会の講演にオススメ。メンタルヘルス講演 高橋美紀のメールマガジン
お役立ちコラム
2026-06-02

部下を守る管理職の「ラインケア」実践ガイド|声かけ・1on1・相談対応の具体的な進め方

※本記事は「GW明けが分かれ道!新入社員の 「五月病・サイレント離職」を防ぐメンタルヘルス対策 の実践ガイド」の続編です。 前回記事では、GW明けに離職が増えるメカニズムと 企業が取り組むべき対策の全体像をお伝えしました。 本記事では、その中でも特に重要な 「管理職によるラインケア」に絞って、 現場ですぐに使える具体的な方法をお伝えします。
前回記事を読む

「最近、部下の表情が暗い気がする」 「以前より会話が減った」 「ミスが増えているけれど、どう声をかければいいのか分からない」

管理職の方から、このようなご相談をいただくことがあります。メンタルヘルス対策というと、「専門知識が必要」「難しそう」と感じる方も少なくありません。しかし実際は、日頃のちょっとした関わり方が、部下を守る大きな力になります。

その中でも、管理職が担う最も重要な役割が「ラインケア」です。本記事では、ラインケアの基本から、現場ですぐに使える声かけ・1on1・相談対応の具体的な方法までをお伝えします。

この記事の目次

  1. ラインケアとは何か|管理職が果たすべき役割
    ラインケアの定義と重要性
    管理職は「気づく人」で十分
  2. 部下のメンタル不調サインを見逃さない|管理職のチェックリスト
  3. ラインケアの声かけ|管理職が使える具体的なフレーズ
    効果的な声かけの基本公式
    避けるべきNGワード
  4. 1on1の質を変える|「報告の場」から「安心して話せる場」へ
    多くの企業が抱える1on1の課題
    ラインケアとしての1on1の進め方
    「聴く」ことの力
  5. 相談を受けた時の対応|管理職が一人で抱え込まないために
    専門家につなぐタイミングの目安
    守秘義務と情報共有の範囲
  6. 管理職自身のメンタルヘルスも守る
    「支える側」が倒れてしまうリスク
    管理職が自分を守るために
  7. まとめ|ラインケアは「特別な技術」ではなく「日常の関わり」

1. ラインケアとは何か|管理職が果たすべき役割

① ラインケアの定義と重要性

ラインケアとは、管理職が部下の「いつもと違う様子」に気づき、声をかけ、必要に応じて専門家につなぐ一連の対応を指します。厚生労働省が推奨する職場のメンタルヘルス対策「4つのケア」の中でも、ラインケアは特に現場での実効性が高いとされています。

② 管理職は「気づく人」で十分

「何とかしてあげなければ」「悩みを解決しなければ」そう思う管理職ほど、一人で抱え込んでしまいがちです。しかし、管理職の役割は”治療”ではありません。大切なのは、部下の変化に早く気づき、声をかけられることです。

2. 部下のメンタル不調サインを見逃さない|管理職のチェックリスト

忙しい職場ほど、「性格だから」「たまたまだろう」「様子を見よう」で見過ごされてしまうことがあります。以下のサインが続いている場合は、心のSOSである可能性があります。

【行動面のサイン】

  • 以前より口数が減った
  • 遅刻や欠勤が増えた
  • ミスや確認漏れが増えた
  • 休憩中も一人でいることが増えた
  • 仕事の進みが極端に遅くなった

【表情・態度面のサイン】

  • 表情が暗い、覇気がない
  • 急にイライラしやすくなった
  • 目が合わなくなった
  • 挨拶の声が小さくなった

【身体面のサイン】

  • 顔色が悪い
  • 明らかに疲れた様子が続いている
  • 「眠れていない」「食欲がない」という発言がある

一つだけでは判断できませんが、複数のサインが重なっている場合は要注意です。「いつもと違う」という管理職の直感を大切にしてください。

3. ラインケアの声かけ|管理職が使える具体的なフレーズ

① 効果的な声かけの基本公式

ラインケアで管理職が最も悩むのが、「どう声をかければいいのか分からない」という点です。効果的な声かけには、次の公式があります。

「仕事のこと」+「いつもと違う様子」

例えば、
「最近残業が続いているようだけど、そういえば顔色がよくないよ。ちゃんと眠れている?少し気になって声をかけました」

このように、”あなたを見ていますよ”というメッセージが伝わるだけでも、部下の安心感は大きく変わります。

② 避けるべきNGワード

以下の言葉は、本人をさらに追い込んでしまう場合があります。本人は「迷惑をかけたくない」と思っていることが多く、否定されるとさらに相談しづらくなってしまいます。

NGワードなぜ問題か
「気合が足りない」本人の努力を否定し、罪悪感を強める
「みんな頑張っている」比較されることで孤立感が増す
「考えすぎじゃない?」悩みを軽視され、相談意欲が失われる
「早く元気になって」プレッシャーを与え、症状を悪化させることがある

4. 1on1の質を変える|「報告の場」から「安心して話せる場」へ

① 多くの企業が抱える1on1の課題

最近は1on1を導入する企業も増えてきました。しかし実際には、

  • 業務報告だけで終わる
  • 上司が話しすぎる
  • 評価面談のようになっている

というケースが少なくありません。これでは、部下が本音を話すことはできません。

② ラインケアとしての1on1の進め方

本来の1on1は、”部下が安心して話せる時間”です。管理職側が「聞く姿勢」を持つことが何より大切です。

使いやすい問いかけ例

「最近どう?仕事以外でも何かあれば聞くよ」
「困っていることや、モヤモヤしていることはある?」
「何かサポートできることがあれば遠慮なく言ってね」

シンプルな問いかけで十分です。大切なのは、部下が話し始めた時に途中でアドバイスをしすぎないことです。

③ 「聴く」ことの力

管理職は、つい「解決してあげよう」としてしまいます。しかし、まず必要なのは”受け止めてもらえた”という安心感です。

「それは大変だったね」
「よく話してくれたね」
「一人で抱えてたんだね」

こんな一言が、部下の気持ちを大きく軽くすることがあります。解決より、まず受け止める。これがラインケアの核心です。

5. 相談を受けた時の対応|管理職が一人で抱え込まないために

① 専門家につなぐタイミングの目安

部下から相談を受けた時、一番避けたいのは「管理職が一人で抱え込み、声かけや専門家への相談が遅れること」です。管理職の役割は「解決すること」ではなく、「気づいて、つなぐこと」 ですので、「いつもと違う」様子に気がついた時点で、早めに声をかけることが大切です。

特に以下のような状態が見られる場合は、すでに心身への負担が大きくなっているサインです。産業医や社内外の相談窓口など、専門家への相談を早急に検討してください。

眠れていない状態が2週間以上続いている
食欲がない、体重が急激に落ちた
涙が止まらない、感情のコントロールが難しい
「もう限界」「辞めたい」という発言がある

ただし、こうした状態になる前に動くことが理想です。 「なんとなく元気がない」「最近口数が減った」という小さな違和感の段階で声をかけ、必要であれば専門家につなぐ。それが管理職に求められるラインケアの本質です。
管理職だけで何とかしようとせず、「つなぐこと」も大切なラインケアの一つです。

② 守秘義務と情報共有の範囲

相談内容を安易に周囲へ共有しないことも重要です。「心配だから」と善意で話したつもりでも、本人との信頼関係を壊してしまう場合があります。

情報共有は「本人の同意を得た上で、必要な範囲に限定する」が原則です。守秘義務と配慮を意識しながら、人事・産業医と連携することが求められます。

▷ ラインケア研修・管理職向けメンタルヘルス研修のご相談はこちら
https://cordial-fksr.com/contact/(ご相談無料・全国対応)

6. 管理職自身のメンタルヘルスも守る

① 「支える側」が倒れてしまうリスク

「部下を支える側」である管理職自身の状態も、非常に重要です。自分に余裕がない時、人は周囲の変化に気づきにくくなります。イライラしてしまったり、話を聞く余裕がなくなったりすることもあるでしょう。

最近は「管理職が孤独」という声も増えています。部下のこと、上からのプレッシャー、数字への責任…。その中で、自分の感情を後回しにしてしまう方も少なくありません。

② 管理職が自分を守るために

  • 自分の状態を定期的に振り返る習慣を持つ
  • 「完璧に対応できなくていい」と自分に許可を出す
  • 一人で抱え込まず、人事や上司、外部機関に相談する
  • 管理職同士で情報共有できる場をつくる

部下を守るためにも、まず管理職自身が”相談できる環境”を持つことが大切です。

7. まとめ|ラインケアは「特別な技術」ではなく「日常の関わり」

ラインケアに必要なのは、特別な技術ではありません。

  • いつもと違う変化に気づく
  • 「気になっている」と声をかける
  • 話をじっくり聴く
  • 必要であれば専門家につなぐ

この4つのステップが、部下を守る「ラインケア」の本質です。職場のメンタルヘルス対策は、日頃のコミュニケーションの積み重ねが”相談しやすい職場”をつくっていきます。

「管理職として何から始めればいいか分からない」という方は、まず一つ、今日から声かけを変えてみてください。その小さな一歩が、職場全体の安心感を育てていきます。

なお、GW明けに新入社員の離職が増える背景や、企業全体で取り組むべきメンタルヘルス対策の全体像については、前回記事で詳しく解説しています。 あわせてご覧ください。
前回記事はこちら「GW明けが分かれ道!新入社員の五月病・ サイレント離職を防ぐメンタルヘルス対策の実践ガイド」

管理職向けラインケア研修・メンタルヘルス研修のご相談はこちら
管理職が現場で使えるラインケアの実践スキルを、参加型研修でお届けします。貴社の状況に合わせたカスタマイズにも対応しています。まずはお気軽にご相談ください。

安全大会でメンタルヘルス講演をお考えの企業様はこちら↓

安全大会・周年行事のための講演「メンタルヘルス×心の安全」

著者情報

高橋 美紀(特定社会保険労務士)

□ コーディアル社会保険労務士事務所 代表
□ 株式会社 エクスコーディアル 代表取締役
福岡を拠点に全国でメンタルヘルス対策・ハラスメント対策の研修・講演を年間100件以上実施しています。
小郡市ハラスメント対策検討委員会メンバーとして条例策定に携わり、市長会議や地方労働局での幹部研修、複数市役所での継続研修など、行政・公的機関からの依頼による講演や研修にも多数登壇。医療、金融、製造、外資系ホテルなど民間企業からの相談も多く、テレビ・ビジネス番組にも出演。公的機関と民間双方の現場を熟知する、メンタルヘルス対策・ハラスメント対策専門の社労士です。

資格・所属・認定など
特定社会保険労務士/国家資格キャリアコンサルタント/産業カウンセラー協会認定講師/アンガーマネジメントファシリテーター等
→ 詳しいプロフィール・保有資格一覧はこちら

関連記事

to Top