職場におけるハラスメントとは?医療現場と中小企業の現状
こんにちは、ハラスメント防止やメンタルヘルス対策の研修講師を務める高橋美紀です。
2月のブログでは、ハラスメント防止に関する基礎知識を4回シリーズでお届けします。第1回目となる今回は、「医療現場と中小企業におけるハラスメント問題の現状」をテーマに、現場で問題視されるハラスメントの種類と背景を解説します。
医療現場と中小企業:異なる特徴を持つハラスメント問題

ハラスメントは、人間関係のトラブルや職場の雰囲気を悪化させるだけでなく、従業員の心身の健康や業務効率にも大きな影響を及ぼします。特に、医療現場や中小企業では、それぞれの特有の環境や組織構造がハラスメントのリスクを高める要因となっています。
医療現場では、命を預かる責任感やストレスの多い労働環境による影響。中小企業では、限られた人員や独自の職場文化などが挙げられます。この記事では、こうした背景を踏まえ、職場におけるハラスメントの定義と、医療現場や中小企業が抱える現状や課題について詳しく解説します。
職場の代表的なハラスメント
職場のハラスメントとは、仕事に関連する人間関係において、相手に不快感や苦痛を与える一連の行為を指します。厚生労働省が定義する代表的なハラスメントは以下の3つです。
厚生労働省が定義する代表的なハラスメント
- 職場のパワーハラスメント
職場のパワーハラスメントとは、職場において行われる①優越的な関係を背景とした言動であって、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるものであり、①から③までの3つの要素を全て満たすもの。 - 職場のセクシュアルハラスメント
「職場」において行われる「労働者」の意に反する「性的な言動」により、労働者が労働条件について不利益を受けたり、就業環境が害されること。 - 職場の妊娠・出産・育児休業等ハラスメントとは
「職場」において行われる上司・同僚からの言動(妊娠・出産したこと、育児休業、介護休業等の利用に関する言動)により、妊娠・出産した「女性労働者」や育児休業・介護休業等を申出・取得した「男女労働者」の就業環境が害されること。
厚生労働省「あかるい職場応援団」より引用
ハラスメントが職場に与える影響
医療現場や中小企業におけるハラスメントが適切に対処されずに放置されると、以下のような深刻な問題の発生に繋がります。
- 従業員の離職率増加
ハラスメント被害を受けた従業員が退職を余儀なくされるケースが多発します。 - 職場の士気低下
ハラスメントが蔓延することで、職場の雰囲気が悪化し、生産性が低下します。 - 法的リスクの増加
ハラスメントによる訴訟や行政指導の対象となり、企業イメージの悪化へ繋ります。
職場環境の悪化や従業員のモチベーション低下だけでなく、組織全体のパフォーマンスや信頼性にも大きな影響を及ぼす危険があるため、適切な対応が必要です。
医療現場と中小企業の現状
ハラスメント問題は、職場の特性によってその発生要因や対策が異なる場合があります。ここでは、医療現場と中小企業におけるハラスメント問題の特徴について詳しく解説します。
医療現場におけるハラスメントの現状
医療現場では、患者の命を預かる責任感が強く、ハラスメントが発生しやすい環境にあります。
- 階層的な組織構造
医師、看護師、事務職員など役割が明確に分かれている医療現場では、上下関係が自然と強調されやすい特徴があります。そのため、上司からの指導が相手にとって過剰に感じられ、結果的にパワハラと受け取られてしまうケースが報告されています。 - 高いストレスと過重労働
医療従事者は、患者対応や長時間勤務など、非常に負荷の高い環境で働いています。このような状況では、感情的な余裕を保つことが難しくなり、意図せず周囲への接し方が厳しくなってしまう場合もあります。 - チーム医療の複雑さ
医療現場では、さまざまな職種が連携して患者を支えることが求められます。このような協力関係の中で、意見の行き違いや業務分担に対する認識の違いが生じることがあり、場合によってはコミュニケーション上の課題に発展することもあります。
中小企業におけるハラスメントの現状
中小企業では、少人数での業務運営や特有の職場文化などが、医療現場とは異なる要因がハラスメントのリスクを高めています。
- 限られた人員と役割の集中
中小企業では、少人数で効率よく業務を進める必要があるため、一人ひとりにかかる役割が大きくなる傾向があります。このような状況が重なると、コミュニケーション上の行き違いや負担の偏りが生じる場合があります。 - ハラスメントへの認識の違い
中小企業では、大企業ほどハラスメント対策が十分に行き届いていないことがあります。例えば、教育や情報共有の機会が少ないことから、意図せず相手に負担をかけてしまう言動が起こることも考えられます。 - 家族的な職場文化がもたらす影響
中小企業の魅力の一つであるアットホームな雰囲気は、働きやすさにつながる一方で、プライベートな領域への配慮が足りなくなる場合があります。このような状況がコミュニケーションの課題として表れることもあるため、適切な距離感を保つことが重要です。
ハラスメント防止のためにできること

ハラスメントは、誰もが加害者にも被害者にもなり得る課題です。職場全体で、以下のような取り組みを行いましょう。
ハラスメント対策に有効な取り組み
- 正しい知識を職場全体で共有する
ハラスメントとは何かを学び、従業員一人ひとりが意識を高めることが重要です。「知らなかった!」がハラスメントを引き起こす原因にもなりえます。 - 相談しやすい職場環境を整える
従業員がハラスメントを相談しやすい体制を整えることで、問題の早期発見と解決が可能になります。 - 外部の力を活用する
研修や外部相談窓口を設置するなど、外部の専門家を活用することも効果的です。
医療現場や中小企業の事情に応じたハラスメント防止対策が重要
医療現場や中小企業では、職場特有の事情がハラスメントを引き起こしやすい環境を作り出しています。専門的な知識の不足、相談窓口担当者の確保が困難であるなど、職場内だけでの問題解決は難しい場合は、外部相談窓口の設置や専門家による研修を活用し、問題の早期発見と解決を図りましょう。
エクスコーディアルでは、ハラスメント研修、外部相談窓口の設置支援など、職場環境の改善をお手伝いいたします。まずはお気軽にご相談ください。
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次回は、「パワハラ防止措置が義務化!管理職が目指すべき新しい指導スタイル」について詳しく解説します。管理職が取るべき具体的な行動や対策をお伝えする予定です。ぜひお楽しみに!
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